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06.諸富徹氏「本質はモラル・サイエンス~経済学とは何か?」
日時:2010年5月22日(土)午後2時~4時
参加費:7,500円(事前申し込み)
定員:7人
会場:京都市伏見区桃山水野左近東町76 京阪・近鉄「丹波橋」徒歩10分、(株)リブアート内

●ゼミナール概要

2008年9月の「リーマン・ショック」をきっかけとする世界同時不況を、経済学は事前に予測できたわけではありませんし、かといって、事後的に有効な処方箋を提示しえたわけでもありませんでした。このことから、経済学のあり方を改めて問い直す動きが広がっています。
経済学は、天文学が「日食」や「月食」の日付を正確に予測できるように、景気の予測を正確に行えるわけではありません。それは、経済学が人間の行動を扱っているためです。経済学では人間の行動を「効用最大化」で説明していますが、現実にはそれ以外の多様な動機と要因が作用しています。
こうした不確実な人間行動を取り扱う点で、経済学は本質的に「モラル・サイエンス(道徳科学)」であって、自然科学とは区別されなければならないと鋭く警告を発したのは、他でもないケインズでした。しかし、物理学をモデルとして発展してきた経済学は、「資源配分の効率性」を唯一の判断基準として採用する一方、「公平性」や「平等」などの価値の問題を明示的に取り扱わなくなっているのが実情です。
とはいえ、新古典派経済学の形成者にしてケンブリッジ大学経済学講座の教授だったアルフレッド・マーシャルは、数学専攻だった学生時代、ロンドンの貧民街を歩いて貧困の悲惨さを目の当たりにし、そのような人々を救うために経済学を志したといわれています。彼は教授就任講演で、経済学を学ぶ者には「冷静な頭脳と温かい心」が必要だと説いています。
本講義でも、『ヒューマニティーズ 経済学』(岩波書店,2009年)を素材にして、経済学を「冷静な頭脳と温かい心」の科学として捉え、アダム・スミスからケインズに至るまで偉大な経済学者がどのように現実と格闘しながら理論を紡ぎだそうとしたかを振り返ることで、「経済学とは何か」を一緒に考えてみたいと思います。

●諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)【プロフィール】

1968年生まれ。1993年同志社大学経済学部卒業。1998年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。1998年横浜国立大学経済学部助教授、2002年京都大学大学院経済学研究科助教授、2006年同公共政策大学院助教授、2008年同大学院経済学研究科准教授を経て、2010年3月から現職。
この間に、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、ミシガン大学客員研究員を歴任。主著に、『環境税の理論と実際』(NIRA大来政策研究賞、日本地方財政学会佐藤賞、国際公共経済学会賞を受賞)がある。他に、『環境〈思考のフロンティア〉』岩波書店(2003年)、『経済学〈ヒューマニティーズ〉』岩波書店(2009年)、『地域再生の新戦略』中公叢書(2010年)、『低炭素社会への道』岩波新書(共著、2010年)など。
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