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09:神門善久「さよならニッポン農業」
日時:2010年9月18日(土)午後2時~4時
参加費:7,500円(事前申し込み) 
定員:7人
会場:京都市伏見区桃山水野左近東町76 京阪・近鉄「丹波橋」徒歩10分、(株)リブアート内

●ゼミナール概要

日本農業は、きわめて厳しい停滞状態にある。OECDによると国内農業保護額(PSE)は4.2兆円で、農業の純付加価値額の3.0兆円を上回る(いずれも2007年時点)。つまり、農業生産を増やせば増やすほど、日本の国民所得が減少するというという異常事態である。
しかも、この先、ますます農業の前途を暗くする4つの要素がある。第一に、世界的な貿易自由化の潮流にあって、日本がコメなどに課している高関税がこれから先は、削減せざるを得なくなる可能性が高い。第二に、日本人が肉体的・精神的に野良仕事に耐えにくくなり、外国人(中国人やフィリピン人)への依存を高めているが、外国人雇用の法的枠組みが未整備で、今後も安定して外国人を雇用しつづけることができるかが不安である。第三に、圃場が複雑に組み合わさり、水利を集落全体で共有するという日本農業では、集落全体で計画的に水や土地を使わないといけないのに、「和を尊ぶ」という農村文化が崩壊しつつあり、農家がめいめい勝手気ままがお互いの足を引っ張り合うという事例が増えている。第四に、ここ数年の「規制緩和」により、非営農企業が農地に利用権を設定しやすくなっており、非営農目的での農地所有が増える可能性がある。
ところが、日本農業がこのような暗澹たる状況にあるのとは真逆で、ここ数年、日本の出版界では異常なまでの「農業ブーム」が起きている。書店には、就農を推奨したり、農業の成功談を紹介したり、農水省・JAの古い体質を攻撃したりする本が、大量に並び、めぼしい本屋には特別コーナーまで設けられた。ファッション誌からビジネス誌にいたるまで、農業特集が盛んに組まれている。外国人労働者や農地利用の無秩序化といった不愉快な話題は一切避け、夢のような農業論が展開され、読者を心地よい高揚感に誘っているようである。本報告では、「農業ブーム」の意味を解説しながら、現代日本社会の特徴を考察する。

●神門善久(ごうど・よしひさ)【プロフィール】

1962年島根県生まれ。1984年京都大学農学部卒業、京都大学農学研究科農林経済学博士後期課程中退。農学博士。滋賀県立短期大学助手などを経て、2006年から明治学院大学経済学部経済学科教授。農業政策論、経済発展論などを担当。
『日本の食と農―危機の本質―』(NTT出版、2006年)で第28回サントリー学芸賞(政治・経済部門)および第7回日経BP・BizTech図書賞を受賞。
「研究者は真実に対する畏怖の念さえ持っていればよいのであって、他におそれることはありません。これでマスコミや”識者”から敬遠され、干されたとしても、それが私の人生と腹をくくっています」。
【著書】「日本の食と農 危機の本質」(NTT出版、2006年)、『偽装農家』(飛鳥新社、2009年)『さよならニッポン農業』(NHK出版、2010年)など
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